甘くて切なくて、愛おしくて
沢城さんは言い返す事もなくただ、タケちゃんのお母さんの話しを聞いて、頭を下げたままだ。
何で言い返さないのよ。
あれだけ人の悪口言うクセに。
はっきり言えばいいのに。
「それに何かその恰好もね~なんだかホストみたいだし」
「申し訳、ありません」
何だかだんだんイライラしてきた。
何、さっきから。子育てに顔とか服装とか、そういうの関係があるわけ?
ちらっと横を見やると、俯くユウキ君の手がぎゅっと力強く拳を作っている。
そして思い出したユウキ君の言葉。
“だから父さんの悪口、言わないで”
それでもう、十分だった。