甘くて切なくて、愛おしくて
男の人が大きく息を吐いた。
その切れ長の瞳で睨まれ、怯みそうになる。
カッコいい人が睨むとこんなに迫力があるんだな。
じゃなかった
「先程はありがとうございました」
どきんどきん。
生まれて初めての、カッコいい人との会話にドキドキが止まらない。
小説なら普通ここから恋が始まって、って私ってば何を考えてるんだろう?
それなのに彼は嫌そうな顔をしながら
「お前みたいな恰好してるヤツがいるから痴漢も狙うんだろうが」
そう呟くように冷たく言い捨てた。