甘くて切なくて、愛おしくて
だけど、そう伝えた瞳はまっすぐで。俺には眩しいくらいだった。歳のせい?違うな、多分こいつは人生経験というものをあまり積んでいないんだ。だからこうやって人の事情にも突っ込んでくる。
それだけじゃない。2、3日前。
何か力になりたいから、と言って家に晩飯を持ってきた事があった。確かに鍋の中身はカレーだったはず、なのに一口食べたたけで気持ち悪いくらい甘ったるくてちょっとしたスウィーツだった。
カレーだぞ、カレー。
普通にやれば99%の人間が美味しい普通のカレーが出来るはずなのに。あいつはどうやらその残りの1%だったらしい。
しかし、残すのは子供の教育にも関わる。だからユウキには絶対にまずいモノは作るなと教えておいた。それにはユウキも納得したらしく(まぁあれだけ不味いモノを食べたら誰でも分かるだろうが)二度と受け取らない作らないと俺に誓ったのだ。
大きく息を吐きながら靴を脱ぎスリッパに履き替えると、リビングからパタパタとスリッパを鳴らしながらユウキが玄関までやって来た。
「おかえり、父さん!!」