100日愛 [短]




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バタンっ……。




扉が閉まり、鍵がかかる音がした。



ゆっくり目を開き、久しぶりの天井を見上げる。

白い壁は、勿体ないくらい綺麗で…何かを書きたくなった。

数分間はそのままじっと見つめていた。



そして彼女は、体を重そうにしながら起こす。

昨日、肉体があるということは、案外負担がかかっているものなのだと気づいた。

魂だけでフワフワとさ迷いながらも夾を見ているほうがずっと楽ちんだ。



ふと、目覚まし時計の横にある紙を見つけた。

ぶっきらぼうな殴り書きは何も変わっていない。

クス、と笑みを一つ零して、寝室を出た。


時間も、感覚も……。
死んだからといって忘れたわけじゃないようだ。

事実、夾の温もりも身体も、コーヒー豆の挽き時間も蒸し時間もしっかり刻み込まれていた。


本当は、あの時ホッとしていたこと。

何もなかったように振る舞うのは、何て難しくて頼りないんだろう。




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