100日愛 [短]
――――――――………
ドンッ…。
後ろから、誰かがぶつかる。
夾はゆっくり後ろを振り返った。
「ご…ごめんなさいいっ!!!」
そう言われて、ハッとした。
それと同時に、胸が熱くなる。
これは……
出逢った時だ………。
首だけじゃなくて、体ごと薫の方に向ける。
持っていたものを落とした薫は、必死にそれを広い集める。
彼女が優先していたのは、大きいノートではなくて、散らばった色鉛筆。
それを見て、ふと閃いたんだよな。
考えに従うようにして、後回しにされていた大きいノートを拾う夾。
その手を、薫はハッとした顔で追う。
中を開くと、予想は当たった。
色とりどりの、……絵。
絵の具ではなくて色鉛筆で彩られたものはとても繊細で優しくて…。
夾は目を見開いた。
対して、“現在の夾”にもそれは鮮明に現れていた。
思い出の中の夾も、思い出している夾も、無言でその絵を見つめる。
夕日の絵。
虹の絵。
青い空の飛行機雲の絵。
懐かしい公園の風景。