100日愛 [短]




――――――――………




ドンッ…。


後ろから、誰かがぶつかる。

夾はゆっくり後ろを振り返った。



「ご…ごめんなさいいっ!!!」



そう言われて、ハッとした。


それと同時に、胸が熱くなる。




これは……



出逢った時だ………。




首だけじゃなくて、体ごと薫の方に向ける。


持っていたものを落とした薫は、必死にそれを広い集める。

彼女が優先していたのは、大きいノートではなくて、散らばった色鉛筆。




それを見て、ふと閃いたんだよな。




考えに従うようにして、後回しにされていた大きいノートを拾う夾。


その手を、薫はハッとした顔で追う。


中を開くと、予想は当たった。



色とりどりの、……絵。


絵の具ではなくて色鉛筆で彩られたものはとても繊細で優しくて…。

夾は目を見開いた。




対して、“現在の夾”にもそれは鮮明に現れていた。


思い出の中の夾も、思い出している夾も、無言でその絵を見つめる。



夕日の絵。

虹の絵。

青い空の飛行機雲の絵。

懐かしい公園の風景。



< 4 / 40 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop