音コイ
「綾萌、それ面白い?」


「はい。
すごく面白いです。」


初めてきちんと声を聞いて1ヶ月。


やっと綾萌も俺に馴れてくれたみたいで
笑顔も最近はよく見るようになった。


「それ俺大好きな本。」


だけど俺はといえば
今までほとんど人と話さなかったから
まだまだ口下手。


「そうなんですか!
斗岳さんもこういうの書くんですか?」


だけど彼女はそんなの気にもせずに
にこにこと俺と話をしてくれる。


「書く。
自然とか動物が出てくるの多い。」


「へぇ。
イメージ通りですね。」


「イメージ?」


「なんか斗岳さんて
どろどろしたのとかサスペンスとか
似合わない感じがしますもん。」


「斗岳さんはあったかいのが
似合うと思います。」


「あったかい?」


俺があったかい?

一種の対人障害みたいなのを抱えた俺が
あったかいのが似合うのか?






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