八重歯のあの子
「海景、もうそろそろ時間じゃない?」

「ああ、そうかも」

私は空っぽの鞄を手にした。

「ごめんね、海景。

 入学式だったのに、仕事休めなくて」


「大丈夫だよ、もう慣れたから」

「・・・海景」


「じゃあ、お母さん行って来ます」

私は、玄関の扉を開けた。


外には、桜が散っていた。

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