八重歯のあの子
SHRが終わると誰かが呼ぶ。

「海景、海景」


愛しいその声にそっちの方向を向いた。

「今の話聞いてた?」

歩が、少し笑いながら言う。

「再来週、修学旅行ってのは聞いてた。

 それ以外、何も」


「やっぱり、海景のことだから聞いてないとは思った。

 班、俺ら一緒だってよ」

「え、ほんと!?」

身を乗り出して聞いた。

そんな嬉しい話は無い。

「で、でもなんで?」

「席順だよ」

あっ、なるほど。

席順か。

< 113 / 157 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop