八重歯のあの子
「えり、ごめん。
私が悪かった。
屋上行こ」
私はえりの手をとり、屋上に向かった。
屋上につくと、そこは雲ひとつない空が広がっていた。
ベンチに座らせ、泣きじゃくるえりの背中をさする。
「ごめん・・・、辛いこと思い出させて」
えりは、首を横にふる。
「・・・いいよ、私いきなり叫んじゃったね。
ごめんね」
それでもえりは、出てくる涙をおさえつけ笑う。
「えり・・、私が傍にいるから!
いっぱい愚痴ってもいい!
相談してよ!」
私はえりを抱きしめる。
「・・・あり・・・がとう」
えりは、また流れ出る涙を手で拭っていた。