八重歯のあの子

それが今の兄と弟。

あの父の連れ子。

私も詳しいことは覚えていない。


でもものごころついたころにはもう父はいなかった。

それから、長男・聖夜 次男・祐二 長女・海景 と母の四人家族になった。

すぐに聖夜と祐二は母に懐いた。

私は母にも寄り付かなくなった。


私だけ、他人のような気がした。

だから、せっかくできた家族の絆を壊してはいけない気がした。


ただ、それだけ。

だから聖夜と祐二とは一線を置いている。


もう傷つきたくないから。


期待したくないから。


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