八重歯のあの子
宮崎は笑いながら言った。


「手作り?放課後残ってやるの?」

「あ、嫌だった?」

急に心配そうな顔をする宮崎。

少し緩めたネクタイ。

サラサラの髪。


触りたい、と思った。



ありえない、ありえない。



私が、恋するなんて。


私には家族の愛も恋人の愛もいらない。

< 56 / 157 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop