涙の理由を、君は知らない

受験のひとやまを越えて、3ヶ月振りに、彼からのお呼び出し。


今月中には会う日を調整する、って言ってくれて、ここ二週間、気が気じゃなかった。

彼が制服だって言うから、土曜日だけど敢えて制服で家を出る。

大抵は、私が私服で、彼が制服だから、お互いが制服で会う時はあまりなかった。


だから、たまには制服デートって、いいな、って思って。

なんて、君には内緒だけどね。


いや、そもそもこれがデートなのか分かんないけど。


今日は、いつもの場所じゃなくて、彼がよく行くらしい市街地の喫茶店。

いつもよりちょっと早い時間に呼ばれたから、今日は少し長く一緒にいられる。


わくわく。


寒いので、家の近くから駅に向かうバスに乗る。

早くしてね、運転手さん。



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