涙の理由を、君は知らない

「あれ、コーヒー飲めたんだ?」

コーヒーを持って席へ戻ると、彼がそんなことを言う。


「いつも飲んでるじゃん」

「あー、そーいやそうだったわ」


なんて、相変わらずどうでもいい会話で盛り上がれる私たち。

そのあとの話題はやっぱり試験の話に。

私は試験の結果があまり芳しくなくて、彼の方もダメだったと聞いていたが、詳しく聞くと、私と彼の『ダメだった』には雲泥の差があった。

平均点が8割近い学校に通っていたら、彼くらい取れていてもダメらしい。

いや、彼もその平均と同じか、それより少し上くらいなのだけれど。

目指してるレベルが高すぎる。

一応くくりは同じ進学校なのに、こんなに隔たりがあるものかと、ちょっと寂しくなった。



.
< 3 / 38 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop