涙の理由を、君は知らない

「あ、結局大学鹿児島の方にしたんだけどね、」


「あ、結局そっちにしたのねー」


試験が終わった段階で、出願する大学は、帯広か、鹿児島にするといっていた。どっちにしろ、彼の行きたい学部はレベルが高い。


「えー、鹿児島って何があるの? マンゴー?」

「それ宮崎だから。鹿児島は黒豚だろ」

笑いつつ私に突っ込む。


「……鹿児島と宮崎ってお隣りだから、多分マンゴー生えてるよ!」


私の言葉に、彼、苦笑い。

ああ、また、馬鹿だと思われた。


「……で、まぁ大学落ちたら名古屋か東京の予備校の寮で浪人生活だから。浪人するなら、北大いけたらいーなーって感じで」


彼は、私立の大学には絶対いきたくないと、私大の併願はせず、国立一本でいくらしい。

目標を叶える為には適当な大学は行かない貴方の姿勢、だいすきです。

ただモラトリアムが欲しいだけの私とはあまりにも違いすぎて、眩しい。


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