ネコ彼。(完)
「……貸して」
そう言って、哲平はネックレスを手に取る。
慣れない手付きで、私の首にネックレスをつけてくれる。
くすぐったい。
「―――首輪。……みちるはオレのもの、って印」
「へ?」
首もとに柔らかい唇の感触を感じた次の瞬間、チクリとした痛み。
私の首もとから顔を上げた哲平と目が合う。
「―――…みちるが好きだ」
「―――!」
聞きたかった言葉。
嬉しくて嬉しくて、涙が次から次へと出てくる。
止めどなく流れる私の涙を、哲平の指が拭ってくれる。
「泣き虫」
クスッと哲平が笑った。
何か悔しい。
「誰の…せいだと…っ」
「―――みちる」
哲平は私の口答えを制するように、甘い口調で私の名前を呼ぶ。
にっこりと笑った後。
哲平は、噛みつくように私にキスをした。