ネコ彼。(完)
 

―――でも。


みちると付き合い始めて、丸1年が経った日だった。


みちるは、オレが姉貴と一緒にいるところを見たみたいで、それをきっかけに少し言い合いになった。


最初はヤキモチ焼いてくれてるのかと思って、少し嬉しく感じていたのに…


突然、みちるから『別れよっか?』の言葉。


何でそうなるんだよ?


一瞬、何が起こったのかわからないほど焦った。


すぐに、あれは姉貴だって伝えれば良かったんだと思う。


でも…


……もしかしたら、みちるは本当はずっとオレと別れたいと思っていたのかもしれない。


ろくに喜ばせる言葉なんかかけたことのないオレに、愛想を尽かしたとか…。


みちるからめったに来ないメールが昨日届いて、『会いたい』って一言に浮かれてたけど…違ったんだ。


このことを言うためだったのか…?


考えがどんどん悪い方に進む…。




咄嗟に、別れたいのか訊いてしまったものの…


『別れたい』なんて言葉を、みちるの口から二度と聞きたくなくて、返事が来る前に『わかった』と頷いてしまった。


オレは何もしなくてもみちるといるだけで楽しいけど、みちるはそうじゃなかったのかもしれない…。


そう思ってしまった。

 
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