新撰組蝶乱
『まじか!?』
『頓所にも春がきたぜ!』
『でもあの女、昨晩の馬鹿みてえに強え奴だろ?』
『俺ァ普通に男だと思ってたよ。』
『わあ~女だ女だ。』
『べっぴんだねェ』
『いや別嬪なんてもんじゃねェぜ!』
『俺あとで話しかけよ~』
『あ、てめっずりィよ!俺も!』
女を、知らないわけではない。
しかし、毎日の頓所生活では全くと言っていい位女子との接触がない隊士達。
久々にみたもの、しかも闇のせいでわからなかったその顔の端正さに色めきたたないはずがなかった。
わいわいわあわあ
収まらないかのように思われた騒ぎは、
『…黙れ。』
地の底から響くような、ひとつの声によって一瞬で静まりかえった。