この場所で。




心配して送ると言ってくれたエリと夏奈子を断り、

休み時間の賑やかな廊下を一人とぼとぼと歩く。


学年ごとに校舎が別だけど、玄関は全学年同じだ。


どうか、偶然でもあの子に会わないようにと願いながら、靴を履き替えた。













「……おい、莉緒」



不意に声をかけられてビクッとなる。


でも、その声は


「雅人……」



仲のいい、私の従弟。



「もう帰んの?」


「ん、うん……体調が悪くて」


「一人で大丈夫なんか?」


「うん、大丈夫……」



「そっか……。

コレ、ミキから預かったDVD。お前にって」




「あ、あぁ、ありが……」







受け取ろうとしたその時、



「雅人ー。オハヨー」





私の背中で声がした。




それは、昨日の……






「おー














直樹」










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