この場所で。
「先輩、大丈夫ですかぁ?」
ニヤニヤしながら話しかけてくる"直樹"。
少なくとも私にはそう見えた。
「…………だいじょぶ……だから…………」
やっと出た言葉。
雅人とも目を合わせないで玄関を出た。
後ろでなにか言ってたけど、怖くて振り向けない。
ただ、早く家に帰りたい。
一人になりたい……。
たった5分やそこらの家までの道のりなのに、足がフラついてなかなか前に進めなかった。
やっとで着いても震える手ではなかなかドアが開けられなくて、
知らず知らずにのうちに目に涙がたまっていた。
怖い……怖い…………