この場所で。
奥の奥。
―――――飯島直樹。
女の子に人気がある方らしく、エリや夏奈子も騒いでいた時期があった。
『ちょっと怖そーだけどカッコイイよね』
って言ってたのを覚えている。
そういうことに興味はなかったけど、
雅人とよく一緒にいたから知ってたんだ……。
「……早かったね」
美術準備室。
恐る恐るドアを開けると、飯島直樹は壁にもたれて携帯をいじっていた。
「………待ちきれなかった、とか?」
ゆっくりと私に近づいてきて、そのたびに揺れる金色の髪が夕日の光に照らされて、キラキラと光っている。
逃げたいのに体が動かなくて、でも恐怖で全身の震えが止まらない。
「―――――どうしたらっ、雅人たちに言わないでいてくれるの!?
私はなにをすれば、あの写メを消してくれるの!?」
泣きじゃくりながら、やっと出た声が部屋に響いた。
ポロポロととめどなく落ちていく大粒の涙。
顔がぐちゃぐちゃになろうと、気にしている余裕はなかった。
「……泣かないで?」
飯島直樹は、少し寂しそうな顔をしたかと思うと、
「俺の言うことをちゃーんと聞いてればいいから」
って、またあの残酷な笑顔になった。