この場所で。
いくつかの足音と、ビニール袋かなんかの擦れる音。
なんとなく、誰だかわかる足音。
それらは私の部屋の前で止まり、ドアが開く。
「おばさんから連絡あって来たんだけど……」
「……雅人………。鍵は……」
「ポストに入れてってくれてた」
「そう………」
体がダルいからなのか、熱でなにも考えられないのか、
雅人に知られたんじゃないかとか、そんなことはどうでもよくなってた。
雅人が連れてきたのが、飯島直樹だってことも……。
「……エリと夏奈子は?」
「あー、あの人たちうるさいからなー。ゆっくり寝られないだろ」
笑いながら、持ってきたビニール袋からペットボトルを取り出して、私に渡した。
「………ありがと」
私たちのやりとりを、ただじっと見る飯島。
その表情からは、なにを考えてるのかわからなかった。
でも、
嫌な感じが全くなく、普通にボーッとしてるような……