この場所で。







いくつかの足音と、ビニール袋かなんかの擦れる音。


なんとなく、誰だかわかる足音。



それらは私の部屋の前で止まり、ドアが開く。






「おばさんから連絡あって来たんだけど……」



「……雅人………。鍵は……」



「ポストに入れてってくれてた」



「そう………」




体がダルいからなのか、熱でなにも考えられないのか、

雅人に知られたんじゃないかとか、そんなことはどうでもよくなってた。



雅人が連れてきたのが、飯島直樹だってことも……。



「……エリと夏奈子は?」



「あー、あの人たちうるさいからなー。ゆっくり寝られないだろ」



笑いながら、持ってきたビニール袋からペットボトルを取り出して、私に渡した。



「………ありがと」



私たちのやりとりを、ただじっと見る飯島。



その表情からは、なにを考えてるのかわからなかった。


でも、

嫌な感じが全くなく、普通にボーッとしてるような……





< 30 / 59 >

この作品をシェア

pagetop