この場所で。
「俺……ずっと前から莉緒のこと、知ってた」
ポツリポツリと、呟くように話始めた。
「莉緒は覚えてないと思うけど、
俺……美術部で、よく中庭で絵をかいてたんだ」
美術部……?
そういえば、浩司くんが言ってたっけ。
入部してすぐにユーレイ部員になった人がいるって。
それが飯島だったんだ。
だから秘密の開け方も知ってて……
あそこにいた。
「初めて莉緒を見たのは、部活紹介ん時。
なんでか気になって、接点を持ちたいと思ってた。
去年の夏休み……中庭のベンチで会った時は、チャンスだと思った。
泣いてる莉緒に話しかけて、すごく緊張したけど、ハンカチ渡して……
受け取ってくれた」
去年の夏……中庭………
ハンカチ……?
疑問に思ったことは飲み込んで、飯島の話を黙って聞いた。
「それっきりだと思ってたけど、しばらくして雅人と仲がいいって知って……
どうにか莉緒の目にとまるように、眼鏡やめて髪も染めて……
派手にすれば嫌でも目につくと思った。
極力雅人と一緒にいるようにもした。
だけど、莉緒は俺のこと……」
いや、私は知らなかったわけじゃない。
よく知ってる………。