この場所で。
「じゃあね、ちゃんと授業受けるんだよ」
「あのなぁ、俺はこう見えて真面目なんだよ」
「それもそうだね。
見た目に反して雅人は素直でいい子ー♪」
「はいはい………」
頭を撫でようとする莉緒の手を軽く払いのけ、わざとらしく溜め息をついてやった。
莉緒と別れて教室に向かう途中、直樹の姿が見えた。
直樹も俺に気づくと、少し足早に近づいてくる。
「お前、授業サボってなにしてたんだよ……」
心なしか、機嫌が悪いようだ。
少し身長差のある俺を見上げて、眉間にシワをよせて睨んでいる。
「別に……面倒だから?」
本当のことを言うと、なんだかややこしくなりそうだから、あえて莉緒といたことは伏せておいた。
どうして莉緒のことを気にするのかは知らないけど………まさか、な。