この場所で。
「…………ご、めんなさ……」
小さく震える莉緒の声。
なにを謝ることがあるのか、そう思ったけど、
振り向くことができずに黙って聞いた。
「ごめんなさい、私……
私、気付いてた。声かけてハンカチ貸してくれたのが、あんただって。
気付いてたのに………
知らないフリした……」
嗚咽まじりに泣きじゃくる声。
また泣かせたな、って
自己嫌悪。
でも、なんで……
「知らないフリなんか、」
したんだ………?
「怖かった……。
ああいう人なんだ、って。
告白したところで、女の子に囲まれてるような人は私なんか相手にもしてくれないんだろうって。
やっと見つけたあの時の子は、女の子との噂が絶えない人になってたから……」
…………つまりは、
「莉緒も俺のこと、好きだったの……?」
「そうだよ………」