キミの隣
「っ…、結衣で悪かったわねー。」
すぐ態度に出てしまうあたしは、頬っぺたをぷーっと膨らませた。
「別に……」
そんなあたしを、気にもしないさっくんはさっさと歩き出した。
「……待ってよー」
さっくんはあたしに対して、すごく冷たい。
けど、見えない優しさがあるんだよね。
………ほら、いまだって
のろのろ歩くあたしに合わせて、歩くスピードを落としてくれている。
あーっどうしようもないくらい、あたしさっくんが好きだ。
1人ニヤニヤしながらさっくんの隣で歩いているあたしは、端からみたらただの変態だ。
毎日、家まで一緒に帰っている時間が唯一さっくんと居られる時間。
だけど"あの人"は邪魔をするんだ。
あたしとさっくんの時間を……