スキなのは君
第一章
初めての出逢い
「うわぁ‥かわいい」
真新しい制服に袖を通し、鏡を見てつぶやいた。
かわいいかわいい!
これこそ小さい頃からの夢だったブレザーだ。
「椎花~つかさちゃん来たわよ~」
ママの大きな声を聞き、ルンルンで玄関まで走る。
「つかさちゃんっ」
「椎花ってばかわいいっ」
私を見るなりつかさちゃんはギュッてしてきて思わずこけかける。
そんなこと言いながら、つかさちゃんはもっと似合ってる。
つかさちゃんは背も高くて美人だからモデルさんみたいなんだ。
だから言い寄ってくる男の子なんかいっぱいいるってわけ。
「つかさちゃんもかわいいよ~」
あたしまでギュッて仕返すと近くにいたお兄ちゃんは小さく笑った。
「相変わらずだな~。なに?二人デキてんの?」
「なーに言ってんの!元から椎花は私の物だしっ」
ベーっと舌を出すつかさちゃんとじゃれ合うお兄ちゃん。
変わらない日常だ。
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