Quiet man
そしてヤツに

殺意を憶えたのも事実・・。



「あたしのせいで・・

神足さんが、だんだん

変わって行くみたい・・!」



腕の中のナギが

声を搾り出す・・。


恋は盲目とはよく云う。


彼女は

何時にない愛し方や

俺が漏らした言葉で

そんな俺を感じ取ったのだ・・。



相手の為を想って別れるのも

ひとつの愛のカタチとして

アリなんだと・・今更、

俺はこの歳になって思い知る。



「反省してる、軽率だった。

・・もう、許して貰えない? 」



彼女の手を取った時・・

酷く不細工に

折れた爪を見た、両手ともだ。



痛々しく、右手の薬指などは

爪の周りに

血の塊が筋になってた。



( 必死に抵抗したんだよな、

・・怖かったろうに )




どうしてもっと

優しくしてやれなかったのかと

己に腹も立つし、

情けなくなってくる。



指を見つめながら摩ると

静かな・・溜息がもれた。









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