Quiet man
「うっ、だから、

もうっ、・・ヒッく、」




( え!? 泣いてる!? )




って云うか、

なんでそのおばちゃんと

どこまで込入った話を

してるんだ・・!?



さては酔ってるのか。




「がっかりさせたくない、

っから・・・!」


「・・一回やったら二回目も

流産しやすいて云うけど、

そんな事ないから、大丈夫!」


「ほんまに・・?」




( "流産"? )


俺は思いも寄らぬ言葉に

その場で凍り付いていた。




「あー。

おばちゃん知ってる人も

ちゃんと妊娠してな、

2人生みなはったよ。

だからメゲやんと、な?」


「ん・・おばちゃん、

仕事中やのに構ってくれて

アリガト・・ごめんな?」


「ええよぅ、元気出しさ?」


「ん・・うん・・。」




やばい・・。外で待つか。


ぎりぎり、ドアの外へ出れたが

何気に顔を上げた

おばちゃんと目が合った。




「冷蔵庫の補充終りました」

「あ・・どうも」

「・・・。」




おばちゃんはそれ以上何も

云わず少しだけジッと見て

にっこり笑い、

隣へと移って行った。



( それにしても・・

・・悔しかったろうな。)



己の鈍感さにも呆れる・・。



俺は彼女が・・

妊娠できなかっただけだと

・・思っていた。



あの朝子って女に

先を越されたんだと・・。

まさか・・流産してたなんて。




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