Quiet man
「・・・・・。」

「ごめん、起して・・。」


出てきた私の顔を

一瞬、キッと見た様な。


そして

寝起きとも思えない機敏さで

彼は冷蔵庫前まで歩いて行った。


彼も・・・服のままだった。



「何も食べてないだろ。」



コトン、と

テーブルに置いたのは

サンドイッチの乗ったお皿。

ルームサービスで

取って置いてくれたらしい。



「食べよ」



ぶっきらぼうにそう云い、

自分は先にそれを手に取り

口に頬張った。


おずおずと彼の前に座り、

自分も1つ手に取り噛り付いた。


黙々と食べる二人、

そこには気拙さしかない。


彼は優しいから

言い出せないのかもしれない。

罰を言い渡されるのを待つ、

罪人の気分だと云うのに。



「ごちそうさま・・。」



喉に通る訳がなかった。

立ち上がった

あたしを見上げる彼。



「ナギ・・・?

・・・もう・・ヤメよ。」



あたしの頭の中で

頭痛にも似た何かと一緒に

鐘の様な音が響いてる・・。






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