Quiet man
明かりを付け、ベランダに立つ

彼女を見つけた。

振り返り、やんわり微笑むと

部屋に入ってくる。



「お帰りー」



なぜかヘッドホンを着けている

のをさりげなく外してた。



「・・どうしたの?」

「んふふ、ちょっと夕涼み。」



おかしな事をするとは思った。

この時間、

部屋の中も寒いぐらいなのに。

神足でさえ、気温差を感じ

鼻をテッシュでかんでいた。



「お腹は?」

「食べてきた、ナギは?」

「お茶漬け食べたの。」

「じゃ俺、風呂・・」



テッシュを捨てようとして

ゴミ箱を見る。


「?」


スーパーの袋が

コロンと捨ててあった。

しかも、

丸々と何か一杯詰まっている。

生ゴミなら

ココには捨てないだろう。


不審に思い、

ナギがトイレに行ったのを

見計らって取り出し、

コッソリそれを開けてみた。



「な・・・・!」



寒気が背中を走る・・。

ワシャワシャと

詰められていたのは

何者のモノとも知れぬ、

長い髪の毛である。


神足はそれを元通りにして、

ドアの外に出た。

足元、

ドアの下の部分に良く見ると

妙な髪が挟まって残ってる。



きっと・・ここにバラ撒かれて

いたに違いなかった。

典型的なイヤガラセ行為である。









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