Quiet man
「ういっス、アレッ?」


午前中のライブハウス、

1人の男に対して

彼だけでなく

周りの視線が集中している。


気付いていないのは

神足本人のみらしい。


イスに座り、ヘッドホンを着け

どこかご機嫌に

ギターを弾いていた。



「ゴディさん、

どうしちゃったの??」



他のバンド連中は

揃いも揃って首を振り、

肩を竦めて

両手をオーバーに上げたりした。




「雨降らす気だよ」

「・・雪かもよ」

「とうとう体内時計が狂ったか」




ゴディこと彼、

神足は腕時計を嫌う。

だからと云って

遅刻する様な事はない。


かといって、

リハ前・・いや、まして

午前中に姿を現すなど

かつて無い事だ。



ふらりとやってきて、

リハーサル。


ギグをこなして

サッサと居なくなる。


いつもの

彼の印象はこんな感じだった。




( ゴディさんに

ナニがあったんだ!? )




・・全員が

そう思うのも無理はない。



「アー・・、ん。」



ヘッドフォンを外すといよいよ

そんな周りに気が着いたらしい。




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