Quiet man
「大丈夫、

何も問題は無いようですよ。」


「そうですか・・。」



小野原和祇はエコー検査後の

ゼリーを拭き取って貰い、

診察台からゆっくりと身を

起していた。



「今日は薬を出しておきます。

また痛みがある様ならもう一度

検査しましょうか。」


「はい、有難うございました。」



何度来ても、産婦人科の治療や

検査は慣れない。


薬を貰って病院を出る。

たくさん渡されたが

本当に効くのだろうかと、

何故か不安になったりもした。



「・・・・!!」



何気に顔を上げたロビーで、

見覚えのあるスーツ姿の男に

目を奪われて立ち止まった。


ツカツカと歩み寄って来るのに

驚きのあまり

動けなくなっていたのだ。



「和祇。」


「どうして・・。」



見つめられると

息苦しさを憶える。


・・あの眼差しが

自分に向けられたのは

もう、ずっと昔の事の様に思えた。



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