Quiet man
「失礼な。真剣な性交渉しか

してないつもりだが?」


「ただのタネマキ作業やろ、

この種馬エロ医者がっ。」




真面目な顔で

ウソツキ太郎はお手もの。

いや、

はぐらかしの天才と云おうか。

どちらも元・夫の十八番である。


先に着いていた

呆気に取られるホステスを


「悪いが二人っきりにしてくれ」

と、追い払う。


そして

"クイクイ"とカギ状にした

指で、あたしに手招きするのだ。


その仕草に思わず


「んがっ、何かムカツク!」


隠し切れない思いが

つい口を突いて出ていた。



「ちょこざいな、何様のツモリ?」

「決まっている、お客様だぞ?」


「ヶッ。」

「何か云ったか?」


「イイエ! ・・ほな、

さっさと呑んで帰って貰おか。」



下手したら、これって

ストーカー行為になるんちゃう?


少し諦めドカリと隣に腰を降ろし、

濃い目の水割りを作って渡した。


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