王子の魂 ―ワタシの想い―
「やっぱり・・・、って?」
「さっきも、優子のお母さん、掃除しようとしたみたいで部屋に来たんだけど、俺に気づかなくってさ。」

私はリュウの言葉に耳を疑った。

「え?どういうこと?」
「俺にもよくわかんね。」

私にはリュウは見えてるのに・・・。
ここにいるのに・・・。
お母さんには見えない・・・?

どういうことか本当に分からなくなってきた。

私が悩んでいると、つけっぱなしだったテレビからリュウのニュースが流れてきた。

<<今日、午前10時頃、大人気グループ「CROWN」のメンバー龍さんが・・・>>

「CROWN」、「龍」という言葉に反応して思わず私はテレビに目をやる。
どうやら内容は先程と同じようだった。


そうだ・・・。

やっぱり、何かがおかしい。

リュウは意識不明で入院してるはずだったのだ。

しかし、リュウはここにいる・・・。
確かに、私の部屋にいるのだ・・・。

リュウは真剣な表情でテレビを見つめて、呟いた。


「俺・・・、どうしちゃったんだろう・・・。」



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