王子の魂 ―ワタシの想い―
動画はある男がベッドに横たわっているシーンから始まった。
しばらくすると、男の体が光だし、男の中からさらにその男が出てきた。
おそらくそれが今のリュウと同じ、男の魂なのだろう。

「あ、この映画、見たことあるかも。」

リュウがそう呟いた。
動画は、男が体から抜け出し、部屋から出て行くところで終わっていた。

「あ~、ホント、俺どうすればいいんだろう?
分からないことだらけだよ~・・・。」

リュウはそう嘆くと床に寝転がった。

本当に分からないことだらけだ。

なぜリュウは意識不明になったのか。
なぜリュウは幽体離脱してしまったのか。

なぜ、リュウは私の部屋に来たのか・・・。

私はケータイをパタンと閉じた。

「とりあえず、体に戻らないといけないよな・・・。」

リュウがそう言った。

「ねえ、あの動画みたいに体から出てきたなら、普通に戻ればいいんじゃないの?」

体から出たなら、戻ればいい。
私の考えはそんな安易なものだった。

「それもそうだな・・・、いっちょやってみますかっ。」

リュウはそう言うと立ち上がった。

しかし・・・、すぐにまた座り込んだ。

「どうしたの?」
「いや・・・、今はダメな気がする・・・。
なんというか、体が拒否ってるような・・・」
「体のことが分かるの?」
「いや、わかんね。けど、ダメな気がする。」

「ハァ・・・。」

私は思わずため息をついた。
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