王子の魂 ―ワタシの想い―
2人を玄関まで見送り、部屋に戻るとリュウは床に広がりっぱなしのポスターを見つめていた。
ポスターの上には、リボンのストラップがのったまま。琴美が忘れていったようだ。

「なあ、俺ってやっぱ女っぽい?」

リュウが私を見た。

「うーん・・・、まあね。」
「だよな。」

リュウは目線を落とす。

リュウの表情は曇っていた。
目を細め、唇を噛んでいる。

どうやら、不機嫌なようだ。
何か気に食わないことでもあったのだろうか?

「なんなんだよ・・・」

リュウはポスターの上のリボンのストラップを睨みつけた。

その表情があまりにも辛そうだったので、私は思わず、リボンのストラップを拾いあげた。

「女っぽくていいことあるかよ・・・、カワイイって、俺は男だよ・・・!」

リュウは手を強く握っている。
体は震え、目にはうっすら涙が浮かんでいる。

私はリュウの気持ちが分からなかった。
何に対して怒っているのか、
「女の子みたい」と言われたのがそんなに嫌だっただろうか?

「リュウ・・・?どうしたの?」

私はリュウの顔を覗きこんだ。

「・・・、ごめん。なんでもねえ・・・。」

リュウは我に返ったように、曇った顔で笑顔を作り出すと、床に寝そべった。
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