王子の魂 ―ワタシの想い―
次の日の朝。

私は学校へ行く準備をしながら、いつも見ている朝のニュース番組を見ていた。
リュウもテレビの前で胡坐をかき画面を見つめていた。

<<昨夜未明、俳優の川島雄祐さんが首を吊って死亡しているところを発見されました。>>

「え!?」

私はアナウンサーが坦々と告げた言葉に驚いた。
「川島雄祐」って・・・あの若手俳優?
たしかリュウともドラマで共演したことがあるはずだ。

「マジかよ・・・」

リュウも驚きを隠せないようだ。

<<川島雄祐さんは以前、友人に「仕事がツライ」などと相談していたようで、自殺をはかったと考えられています。>>

自殺・・・。

私はその言葉に妙な響きを覚えた。

「芸能人の自殺って多いよね・・・」
「まあ、仕事大変だしな~」
「リュウは意識不明になった理由分からないの?」

まさか・・・、と思い私は思わず口にする。

「だから、わかんねえって言ってるだろ。」

リュウは適当に返事をしてきた。
しかし、その声はわずかに震えているようだった。
リュウは私に背を向けていて、どんな表情をしているのかは分からない。

昨日からリュウは変だ。
何かあったのだろうか?

私はそんなリュウが気になりながら

「いってきます」

と一言言って部屋を出た。
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