王子の魂 ―ワタシの想い―
リュウの気持ちが痛いほど分かった。

私もそう思ったことがあるから・・・

でも・・・、
なぜだろう?

私は思わぬ行動に出た。


―――パチン

触れていなくても部屋の中にそんな音が響いたような気がした。

私の手は空気を裂き
リュウはなぜかバランスをくずし、倒れた。

私はリュウの頬を叩いた。
もちろん叩けなかった・・・。

でも、自分の手がヒリヒリと痛んだ。

「そんなことで・・・。そんなことで・・・!?」

私はリュウに怒鳴った。
リュウは黙って私を見つめる。

どうして?
どうして死のうとなんかしたの?
いじめられたって
リュウのことを求めている人はたくさんいるのに!!

私は目の前の、自分と同じ「弱虫」を軽蔑的な目で見つめた。
リュウも私を見ていた。

「んだよ・・・」

リュウは私をそう睨みつけると黙って部屋を出て行った。

リュウの目は濡れていた。

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