男の子、怖いです
男の子、怖いです
怖いきっかけ
そう、あれは小学5年生の秋のこと。
女の子達が雑誌を買い始めて、かわいいお洋服や髪の毛に気を使い始めるころ。
髪の毛はただのツインテール、お洋服は近くのスーパーの衣料品売り場で買ったもの。
そんなわたしの格好は、確かにダサかったかもしれない。
「お前、ダサい。気持ち悪いんだよ、近くくんな」
そう真っ正面から言った男子のせいで、わたしの男性恐怖症は始まった。
前から仲良かった友達の他の、派手な女の子達やクラスメイト達は、そそくさとわたしから離れていった。
ブス、とか、ダサい、とか、学校くんな、とか。
よくあるいじめだけど、わたしにとっては深い心の傷を残した。
いじめられたくなくて、雑誌も買ったしオシャレもするようにした。
今までは流してたお母さんのアドバイスも、ちゃんと聞くようにした。
お母さんの勧めで、腰まであった長い髪はセミロングにしたし、服もお母さんが選ぶかわいいものに変えた。
お母さんはわたしの突然の変化を、「好きな子ができたのかしら」って言ったけど、全然間逆。
お母さんのその言葉を、曖昧に笑ってずっと濁してきた。
そして、オシャレをするようになったすぐ後に、クラスの反応が変わり始めた。
「美白ちゃん、かわいい!そのお洋服、どこで買ったのー?」
「髪の毛のカット、かわいいね!毛先パーマかけてるの?」
ダサい、ってあれだけ言ってた女の子達がそう言ってくるのを聞きながら、所詮人間は顔なのか、なんて冷めたことを思った。
それから、男子には近づかないようにして小学校を卒業した。