男の子、怖いです
「誰がメールしてるってー?」
そう言いながらわたし達に近寄ってきたのは空くんだった。
「美白がねー、男の子とメールしてんの。珍しいでしょ」
奈央がおもしろそうに言う。
「ちょっと…!いいよ別に、そんなこと!」
焦るわたしに、小雪がニヤニヤと笑う。
「えー?いいじゃない、別に♪」
空くんはその間、ずっと黙ってわたしのケータイを見ていた。
「……じゃあ、俺ともメールしてくれない?」
空くんはニコッと笑うと、ケータイを取り出した。
男の子とメール……。
空くんとなら、そこまで嫌悪感はないかな…
優しいし、いい人だし。
断るのも悪いし……。
「はい」
わたしはそう言って、ケータイから電話帳を取り出した。
「わたしが先に送って大丈……」
「やったあああああああ!」
わたしの言葉を遮って、空くんが叫んだ。
何事かと、クラスの人達が空くんを見る。
「マジで!?マジで教えてくれんの?うわあ、めっちゃ嬉しい!」
空くんは顔を真っ赤にして、爽やかにセットされた髪の毛をわしゃわしゃとしながらそう言った。
「え……あ……はい……」
あたしが呆然としながら言うと、堪えきれなくなったかのように小雪が笑い出した。
「ちょっと、わかりやすすぎー!空、うける!」
「うっ、うけるってなんだよ……!」
空くんは顔を真っ赤にしながら小雪を睨みつけた。
「空ってほんとかわいいよねー」
奈央がくすくすと笑う声を聞きながら、わたしは空くんとのメアド交換を終えた。
「今日…メールしてもいい?」
「えっと…はい、大丈夫だと思います」
空くんはその言葉を聞くと、鼻歌を歌いながら廊下へ出て行った。
「全く美白は…」
「罪な女よねえ…」
小雪と奈央が何を話しているのか気になって、わたしは近づいたけど、二人はくすくすと笑いながら話をやめてしまった。
なんなのよお………もう。