男の子、怖いです
挨拶さえもできません
「おはよー、奈央ちゃん」
高校1年生になったわたし。
幸いなことに友達もできて、順風満帆です。
でも………
男の子とは、話せなくて、近づけなくて……
最初はおはよう、って挨拶してくれてたクラスの男の子たちは、怯えるわたしを見て挨拶しないようになりました。
悲しいけど……、仕方ないよね。
「おはよ!」
あたしの肩をぽんっと叩いたのは、クラスの男の子、空くんだった。
びくっと震える肩を見てみぬふりして、空くんはにこやかに笑う。
毎朝、挨拶し続けてくれる唯一の男の子だった。
「お、おはようございます……」
小さな声で挨拶を返すわたしに、にこやかに笑ってくれる唯一の男の子。
すごく、優しいんだよね……。
「ふふふ〜。空ってさあ〜…」
友達の奈央が意味ありげに笑う。
「な、奈央〜…?」
奈央が空くんに視線を移すのにつられて、あたしも空くんを見た。
空くんは、バスケ部のエースだって聞いた。
今時の男の子には珍しく、チャラくなくて、爽やかな感じ。
それに優しい人。
「美白さ、空のこと何とも思ってないの?」
友達の小雪も、ニヤニヤしながら聞いてくる。
「………え、えっと……。怖い」
「はあ!?あの温厚な空が怖い!?美白、あいつは怖くないよ」
空くんと幼なじみだという奈央が言っても、怖いものは怖い。
男の子、ってだけで怖いんだよ……
「………ごめん……、でも、怖いよ…」
うつむくわたしの頭をくしゃくしゃと撫でながら、小雪が笑った。
「大丈夫、いつか男の子が怖くなくなる日は来るから。無理する必要ないよ」