男の子、怖いです

挨拶さえもできません





「おはよー、奈央ちゃん」




高校1年生になったわたし。


幸いなことに友達もできて、順風満帆です。


でも………
男の子とは、話せなくて、近づけなくて……




最初はおはよう、って挨拶してくれてたクラスの男の子たちは、怯えるわたしを見て挨拶しないようになりました。


悲しいけど……、仕方ないよね。




「おはよ!」




あたしの肩をぽんっと叩いたのは、クラスの男の子、空くんだった。


びくっと震える肩を見てみぬふりして、空くんはにこやかに笑う。


毎朝、挨拶し続けてくれる唯一の男の子だった。


「お、おはようございます……」


小さな声で挨拶を返すわたしに、にこやかに笑ってくれる唯一の男の子。




すごく、優しいんだよね……。




「ふふふ〜。空ってさあ〜…」


友達の奈央が意味ありげに笑う。


「な、奈央〜…?」


奈央が空くんに視線を移すのにつられて、あたしも空くんを見た。




空くんは、バスケ部のエースだって聞いた。


今時の男の子には珍しく、チャラくなくて、爽やかな感じ。


それに優しい人。




「美白さ、空のこと何とも思ってないの?」




友達の小雪も、ニヤニヤしながら聞いてくる。




「………え、えっと……。怖い」


「はあ!?あの温厚な空が怖い!?美白、あいつは怖くないよ」




空くんと幼なじみだという奈央が言っても、怖いものは怖い。


男の子、ってだけで怖いんだよ……




「………ごめん……、でも、怖いよ…」




うつむくわたしの頭をくしゃくしゃと撫でながら、小雪が笑った。




「大丈夫、いつか男の子が怖くなくなる日は来るから。無理する必要ないよ」





< 4 / 11 >

この作品をシェア

pagetop