男の子、怖いです
はじめてのメール
「あれ、美白がケータイ見てるなんて珍しーい」
休み時間、わたしはケータイと格闘していた。
いや、実際にパンチとかキックしてるわけじゃないんだけど!
「メール来たんだもん」
わたしはボタンを押しながら言った。
メールなんて、来なければいいのに……。
「何、嫌いな人から?」
「うん、だいっきらいな人から」
「じゃあ無視すれば?」
「………かわいそうだから」
わたしはやっとメールを打ち終わって、ケータイを閉じた。
「で、温厚な美白が嫌いっていうような人、誰なの?」
奈央がおもしろそうにニコッと笑った。
はあ、とため息をついてから、わたしは重い口を開いた。
「琉依くん」
「へえ、琉依くん……、って、男お!?」
「ちょっと!声大きい!」
大声をあげる奈央に、わたしは慌てて口に人差し指をあてた。
「うそ、美白いつ男とメアド交換なんかしたの?てか琉依って誰よ」
小雪が信じられない、というように首をふった。
「どうせ二次元かなん」
「モデルの、琉依。ほら、小雪が好きな」
「「はあああああああああああああ!?」」
絶叫する2人に、わたしは昨日のことを話した。
「し、信じられない…。嘘でしょ、美白が…」
琉依くんの大ファンである小雪が驚いて、いや、少し羨望の眼差しでわたしを見た。
う…、ごめんなさい小雪……
「ただ単にわたしが近くにいたからからかったんだと思うよ。てか、わたし男の子とメールするのなんて嫌だから小雪が代わりにメールしてよ」
わたしがケータイを小雪に渡そうとしても、小雪は受け取ろうとはしなかった。
「嫌だー♪だってせっかく美白が男の子とメールしてるのよ?いくらモデルの琉依だからって美白の邪魔はできないわ♪」
邪魔じゃないんだけど…。
男の子とメール、直接話すよりはマシだけど…慣れるわけないよ。