もしもわたしが許されるのならば
プロローグ
必要最低限のものしか置いていない殺風景な病室。

面会時間はもう過ぎたから、今この個室にいるのはわたしだけ。

「また明日」

大好きな彼がそう言ってくれたから、一人ぼっちの時間も寂しくない。

それでも暇なのは暇なわけで、なんとなくテレビを見てみる。

目に写ったのはこの病院の近く。

「何かあったのかな……」

なんだか、慌ただしい様子だ。

『たった今入ってきたニュースです……』

路上でグシャグシャに潰れた車。

よく見慣れた車。

「嘘、だってさっき……」
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