もしもわたしが許されるのならば
6年前、わたしの家と水泡家はお隣同士で、家族ぐるみで付き合いがあった。

もちろん、わたしと調君も一緒に遊んだりお互いの家に泊まったりした。

あまりにも仲のいいわたし達を見て、親達も「これは、将来結婚させるしかない」ってからかった。

わたしも調君のことが大好きだったから、からかわれても全然嫌じゃなかった。

その関係が壊れたのが6年前。

ある日、わたしは肺炎で入院した。

調君や彼の両親は、毎日のようにお見舞いに来てくれた。

事件の日も家族そろって、病院に来ていた。

「また明日」

帰り際、調君はいつものようにそう言ってくれた。

それなのに、彼らが病院に来ることはなかった。

信号無視のトラックとの衝突事故。

生き残ったのは調君だけだった。

病院からの帰り道。

お見舞いがなかったら、事故に遭うこともなかった。

わたしが肺炎なんかにかかったから……

調君の両親を殺した。

わたしの犯した人生最大の罪。

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