もしもわたしが許されるのならば
「事故の後、調君は親戚に引き取られて、全く会ってなかったの」

「じゃあ、さっきの女の子は……」

「多分、その家の人」

「もしかして『関わると全うな一生送れない』って……」

「あの日から、わたしは周りと距離を置くことにしたの、あんな思いは二度としたくないから」

「でも、事故は結惟ちゃんのせいじゃ……」

「わたしのせいだよ!わたしが肺炎にかからなければ、あんなことは起きなかった。あの子の言うように、調君の前から消えるべきなんだ……」

「馬鹿!」

起希ちゃんはわたしの頬を平手打ちした。

「なんでそんなこと言うの!事故が起きたのは信号無視したトラックのせいだよ。結惟ちゃんが悪いわけじゃない!」

「でも、わたしが入院しなければ……」

「結惟ちゃんは水泡君の何を見てきたの?そんなことで結惟ちゃんを恨むわけないと思う。わたしは水泡君のことよく知らないけど、もし恨んでるなら、結惟ちゃんに話しかけるはずないよ」

「でも……」

「もし逆の立場だったら、結惟ちゃんは水泡君を恨むの?」

「そんなことできない!」

「でしょ?あまり自分を責めたらダメ。それこそ悲しいことだよ」

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