もしもわたしが許されるのならば
「義兄さんに感謝してよね。あの日のことを話したら、すごい剣幕で怒ってきたんだから。本当に結惟さんのことが好きなんだよ」

「そんな……」

調君がわたしのために……

「ああ、もう、泣かないでよ。また義兄さんに怒られちゃう」

「ごめん、氷雨ちゃんも調君のこと好きなのに……」

「謝らないでよ。もともと、義兄さんには結惟さんしかいなかったんだから。悔しいけど認めるしかないじゃない」

「ありがとう……」

「口煩い小姑にはなるけど、可愛い『妹』なんて期待しないでよ」

そう言って、涙を少し浮かべながら笑った氷雨ちゃんの顔を、わたしは一生忘れない。

< 18 / 23 >

この作品をシェア

pagetop