もしもわたしが許されるのならば
第1話
「夢?」

ここが自分の部屋だと認識するのに数秒かかった。

それほどさっきの夢にはリアリティがあった。

現実にあったことだから当然だけど。

「今日は入学式なのに……」

パジャマは汗でビショビショに濡れていた。

「今頃、どうしてるのかな……」

シャワーで汗を流しながら、そんなことを思ってみる。

思い出すのは、昔近所に住んでいた男の子。

幼稚園も小学校も一緒で、いつも時間を忘れて遊んでいた。

服が汚れるまで遊び、そして、お互い親に叱られる。

そんな日々が大好きで、彼のことが大好きだった。

彼はわたしの初恋の人。

でも、その関係も6年前に崩れてしまった。

その原因を作ったのは、わたし。

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