キオクノカケラ
そしてポンポン、と私の頭を撫でながら、
諭すような口調で耳元に囁いてくる。
「大変だったな…よく頑張ったよ。
お前も、結城も……」
隼くんはさらに私を強く抱き締めると、自分の額を私の額に当てた。
ごつん、と鈍い音がしたと思ったら、目の前には隼くんの笑顔。
「大丈夫だって!
そう簡単には死なねぇよ、結城は」
一点の曇りもない、爽やかな笑顔。
彼は決して慰めで言ってるんじゃない。
本気で、結城くんのことを信じてるんだ。
それは、私が一番信じたくて、聞きたかった言葉かもしれない。
私は勝手に流れていた涙を袖で拭って、力強く頷く。
それに彼も頷くと、急いで看護士さんの元へ走って行った。
私はその後ろ姿を見送りながら、そっと手を胸の前で組む。
そして、手術中の赤いランプをじっと見つめた……。