キオクノカケラ
第5章
「……が…です!………なんと……!!!」


「………!!…で…なら……」


遠くでマイクを通した誰かの声が聞こえる。

それと同時にあがる歓声。




ここは…どこ?




頭がボーッとして何も考えられない。

体が異常に重い。

まるで体全体に鉛が入ってるみたい。


まだ働きたくないという脳をたたき起こして、ゆっくりと目を開ける。


だんだんうっすらと光が見えてきて、

それになんとなくぼんやりと色付いて。


それが徐々に形を表して、はっきりとしていく。


「ここ……ステージ裏?」


体育館のステージ裏みたいに、

なんだか色々置いてあってごちゃごちゃしてる。


辺りを見回していると、カーテンの奥のほうで光がチカチカと見えた。


何の光なのか目を凝らして見るけど、

あまり目がよくない私には分からない。


あ、近づけばいいんだ!


手を打って、それに近づこうとすると。


ゴンッ


「っっ!!!?」


何か固いものが額に当たった。


「いったー…この辺に何か……」


額を押さえながら、前に手を伸ばす。

すると、壁みたいなのにぶつかった。


「なに、これ……」


壁っていっても透明で、見た目だけじゃ分からない。

けど確かにそこにある。


コンコンと叩くと、それがよく分かった。


とりあえず、手当たり次第に周りを触ってたけど

それは私の周りにあるみたいで、出られそうはなかった。




「一体何なのよ……」


落胆の息をついて、その場に座り込む。

ふ、と自分が着ている服が、最初と違うことに気づいた。


最初はロングTシャツにショーパンだったのに。

今はフリフリのお姫様みたいなドレスに、頭には大きなリボンがあった。


はっきりいって恥ずかしい……。


「はあ………」


また大きなため息をつくと、誰かの足音が聞こえてきた。

じっと耳をすます。


だんだん大きくなるってことは、私のほうに来るんだろう。

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