キオクノカケラ
「へえ…じゃあ、そうゆうことにしとくよ」


「“しとく”じゃなくてそうなの!!」


………とは言ったものの………


「ふぅん…そう」


絶対そう思ってない!!

表情(カオ)見れば分かるんだから!!


悪戯っぽく、目を細めてくすくす笑う結城くんを上目遣いで睨むと


「なに?もしかして誘ってる?」


「ち、違っ……そんなんじゃ…」


「ふふ、オレとしては大歓迎だけど」


なんてちょっと怪しいことをさらりと言ってくる。


このままじゃ、上手く口車にのせられかねない。

そう判断した私は


「詩織、オレと……――」


「ゆっ…結城、くん!早く車から出よ!!」


何かを言いかけた結城くんを遮って、背中を押す。


「くすくす、はいはい」


ぐいぐいと押して、何とか車の外に出すことに成功した私は、安堵の息をついた。


その横で、愉快そうに笑う結城くん。


彼を横目で軽く睨むと、手を掴んで部屋に向かった。


その間も、顔が紅くなるようなことばかり言ってきて、

私の心臓は爆発するんじゃないかってくらい煩かった。


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